昨日からつづく長雨で、このまま落葉も加速するだろうと見守っていましたが、どうやらそうでもなさそうです。
この時期にしては妙に暖かく、いつもは強風打ち付けるここ祖父江町もいまはおだやかでしっぽりとした様相となっています。
小春日和、ではありませんが、春の雨のようですね。
以前から、イチョウの散り際には、桜と同じような和の美しさがあると感じています。
イチョウの黄葉と落葉のバラツキへの考察~その2
「いまが黄葉まっ盛りなのに、そのすぐとなりのイチョウは完全に落葉しきってる」
普段であれば、12月初冬には「そぶえイチョウ黄葉まつり」も閉幕し、全体的に黄葉が終わってしまっていたので、ここまで疑問に感じることはありませんでした。
というわけで、昨日にひきつづき黄葉と落葉のバラツキの理由についての考察第二弾を行ってみたいと思います。
今日のアプローチは「品種」です。
祖父江のイチョウの七不思議?のひとつに【品種の豊富さ】があります。
町内でもほとんど知られていませんが、実は祖父江町のイチョウには7つの品種があります。
とりわけ、全国的に出荷されることで有名なのが「藤九郎(とうくろう)」、そして、祖父江町に原木がある「久寿(きゅうじゅ)」です。
この2品種はそれぞれ祖父江町では「日持ちの藤九郎、味の久寿」と称されています。
これらが、当地のブランド「祖父江ぎんなん」の年間生産量の2トップです。
お値段は藤九郎のほうが300円ほど高くなっています(2021年現在)。
ということは、祖父江町内のイチョウ林・畑で植栽、栽培されている銀杏(ぎんなん)の木であるイチョウは、必然的に「藤九郎」が多くなってきたわけです。
ただしくは、市場価値の高い「藤九郎」を残すように除伐、間伐、間引きがなされています。
祖父江町のイチョウ植栽の歴史は、昭和46年の減反政策と「接ぎ木の歴史」であることを以前にお伝えしました。
落葉後に現れるあの独特のシルエットは、まさしくこの接ぎ木栽培が祖父江町独特の風景とあいまってアーティスティックに映し出されたものなのです。
次の2点の画像は今年これまでにご紹介したものです。
昨日の考察第一弾の中で、銀杏は落ちてくるものをひろうだけではなく、生産者のみなさんが効率的に収穫するにあたって枝についた銀杏を落とすために特殊な専用の竿を用いていることをお伝えしました。
これは、「早生(わせ)」出荷のためでもあります。
あまり熟さないうちの銀杏の実は、熱を入れることでエメラルドグリーンに輝きます。
このことから、として8月終わりから9月にかけて熱心な「祖父江ぎんなん」ファン向けに「翡翠(ひすい)ぎんなん(画像はこちらで)」として出荷されています。
さて、ここまででピンときたかたも少ないないでしょう。
そうです。
特に、生産に熱心な山崎エリアの、さらに「お屋敷ぎんなん」の落葉が早いのはひとつにこれが理由です。
市場価値が比較的高く日持ちもしないことから随時収穫されることが多い品種「藤九郎」が、祖父江町に立つ約10,000本といわれるイチョウ品種の中で大きくシェアを占めつつあります。
生産に熱心なエリアのイチョウほど黄葉が早いのも「藤九郎」という品種の特徴なのでした。
だからこそ、黄葉から落葉にかけての切り替わりが早めだったのです。
そして、いまだ数多く残り銀杏の味にうるさいファン層の指名買いのある「久寿」でも、もちろん以前から同様のことが起こっていたはずです。
同じイチョウ林、畑の中に、藤九郎、久寿は混栽されているケースは少なくありません。
黄葉まっ盛りのとなりの1本が完全に落葉してしまっている奇妙な減少の理由はこのためなのです。
さらに3つほど、祖父江町がイチョウと共生する中で生まれてきた要因があることに気づきました。
気づいたのですが、今回は長くなりすぎたのでまた後日にいたします。
前置きはここまでとして、それでは本日の祖父江町のイチョウ黄葉状況をようやくご紹介いたします。
祖父江町郊外・周辺エリア

